噛み合わせの問題について
噛み合わせの狂いが引き起こす身体への影響
噛み合わせの位置(咬合位)に歪みが生じると、影響はお口の中だけにとどまらず、顎関節、頭蓋骨、頸椎(首の骨)、さらには全身の神経系や自律神経系へと波及していくことがあります。
当院では、カイロプラクティックや解剖学・生理学の理論(脇山得行D.C.『頭蓋骨調整法の診断とテクニック』、J.Howat D.C.『仙骨後頭骨テクニックの解剖学と生理学』等)を参考に、噛み合わせの不調が全身へ与える影響を以下のように分析しています。
(1)顎関節および耳腔への影響
下顎(下あご)の位置が正常な軌道からズレて奥へ押し込まれると、顎関節頭が関節内で後上方へ圧迫を起こします。
耳鳴りや耳の違和感
押し上げられた顎関節頭が耳腔の前壁を圧迫し、内耳や中耳に影響を与えることで耳鳴りが生じることがあります。
顎関節症
顎関節自体が障害を受け、口を大きく開ける際や噛みしめる際に異音(カクン、ガリガリといった音)が鳴ったり、痛みを伴ったりする状態が生じます。
(2)第二頸椎および全身の骨格・神経系への影響
歯が抜けたまま放置されるなどして噛み合わせのバランスが崩れると、首の骨(特に第二頸椎の歯突起)に新たな噛み合わせの軸が生じ、位置のズレ(位置偏位)を引き起こします。これが起点となり、以下の順序で問題が広がるケースがあります。
神経系への圧迫・引っぱられ
頸椎から出ている神経系や周囲の神経節が圧迫を受け、反射異常や自律神経の失調を引き起こす要因となります。
姿勢・脊柱全体への影響
頸椎のズレが背骨(脊柱)全体の歪みへと波及し、全身の姿勢バランスが崩れます。
脳循環系(血流)への影響
第一・第二頸椎の周囲には、脳へ血液を送る重要で複雑な血管(椎骨動静脈)が走行しています。頸椎の位置ズレによって血管が圧迫を受けると、脳後半分への十分な血液供給が滞り、脳の代謝機能に影響を及ぼす可能性があります。
噛み合わせの力(咬合応力)と頭蓋骨への分散
人は無意識のうち(就寝中の歯ぎしりやくいしばりなど)に、極めて強力な力を歯に加えています。意識下では反射機能が働き、歯が強く噛み合わさる手前で力が抜けるように制御されていますが、無意識下では強い負担が加わり続けます。
この無意識下で加わる力がどのように分散されるかが、健康を維持する上で重要になります。
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- パターン 1理想的な噛み合わせ(力のかかり方)
- 歯にかかる力 ──> 歯根方向へ平行に分散 ──> 頭蓋骨全体へ均等に分散(局所への負担なし)
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- パターン 2問題のある噛み合わせ(下顎がズレた状態)
- 歯にかかる力 ──> 各歯の運動軸が分散 ──> 力の焦点が一箇所に集中(疾患の要因)
理想的な状態(共通の運動軸)
下顎が正しい軌道で運動している場合、噛み合った時の力は咬合平面に対して直角に伝わり、それぞれの力が平行を保ちながら頭蓋骨全体へ分散されます。
要注意な状態(運動軸の乱れ)
下顎が本来の位置を超えて奥や斜めへ滑り込むと、運動中心が顎関節へ移動します。この場合、各歯の運動軸がバラバラになり、噛み合った時の力が上方の特定部位に集中して加わるようになります。この応力が集中した場所が、周囲の組織や全身の疾患と深く結びつく要因と考えられています。
口腔系がストレス源となる「歯科原性ストレス症候群」
人間には、体内の状態を一定に保とうとする機能「生体の恒常性(ホメオスタシス)」が備わっています。全身に張り巡らされた神経系が刺激を感知し、大脳へ情報を伝えることで身体の各器官に適切な命令を出しています。
ストレス学説を提唱したセリエ(Selye)の理論に基づき、口腔系が身体の大きなストレス源になり得る可能性が調査されています。
不正咬合(悪い噛み合わせ)や顎関節症を持つ方には、頭痛、耳鳴り、精神的な不安定さを抱える割合が高い傾向がみられ、これらは「歯科原性ストレス症候群」として位置づけられています。噛み合わせの調整や適切な器具(スプリント等)を用いた治療により、慢性的な頭痛やイライラなどの症状が和らぐ事例報告があります。
臨床データに基づく噛み合わせのアンバランスと全身症状の対応関係
噛み合わせの乱れは、以下のように身体の各部位へ具体的な不調として現れることがあります。
| 噛み合わせの不調要因 | 影響を受ける部位 | 生じうる主な全身症状 |
|---|---|---|
咬合力の分散異常 |
鼻腔 |
鼻炎、蓄膿症 |
応力の発生 |
顎関節 |
顎関節症、耳鳴り、難聴 |
顎部筋群への影響 |
頭位の偏位・姿勢制御 |
姿勢不良、脊柱側弯症、筋肉痛、肩こり症 |
三叉神経系のアンバランス |
自律神経系・姿勢制御機構 |
自律神経失調症、不良姿勢 |
当院における総合的なアプローチ
グリーン歯科医院では、歯の一本一本を単体として見るのではなく、頭蓋骨・頸椎・自律神経系を含めた「全身の中の噛み合わせ」として捉えています。
患者様が抱える不定愁訴や慢性的な不調に対し、どの部分に力学的・神経学的なストレスがかかっているかを精密に調べ、歯を削る処置を最小限にとどめながら、スプリント等を用いた安全性の高いアプローチで本来の調和を取り戻す治療を行っております。
長年原因がわからない症状でお悩みの方は、一度お口の中の噛み合わせバランスを確認することをお勧めいたします。